学力低下懸念噴出 学校完全5日制
文科省と塾 初の協議会 両者の思惑「平行線」
四月からの学校完全週5日制実施をめぐり、文部科学省は三日、東京都内で全国の学習塾団体
を集め、趣旨説明や質疑応答を行う初の連絡協議会を開いた。週5日制は地域での体験活動など
を通じて「生きる力」をはぐくむのが狙い。かつては”敵視”をしていた塾に協力要請したのも、
こうした体験活動の受け皿になってほしいからだ。だが、5日制ではここにきて、学力低下への
懸念が噴出。塾側からも、「利益でないことはできない」などと、はげしい反応が相次いだ。
■受け皿期待
文科省は完全週休二日を「学校だけでなく家庭、地域ぐるみで子供を育てる好機」ととらえ、
自然体験学習やボランティア活動などの機会充実に取り組んできた。
この日、文科省の金口恭久・生涯学習推進課長は「自然体験学習など子供たちの土曜日の過ご
し方について、モデル事業や拠点を用意するのが文部科学賞の役割。実地に広げていくのは、民
間教育事業者であり、学校と塾はイコールパートナーだ」と強調。
塾の内容を同省が規制するわけではないとしたうえで、「ゆとりのなかで生きる力をはぐくむ
という五日制の趣旨をふまえ、体験学習なども塾の事業の中でやってもらえれば、大変ありがた
い」と期待感を示した。
■方向転換?
しかし、五日制実施をめぐっては、ここにきて学力低下への不安が広がり、学校現場でも学力
重視の方向を打ち出すところが目立っている。公立小中でも土曜日の補習を行う動きも出ている。
また私立では完全週五日制に同調せず、土曜日に授業を行う予定のところも多い。四月からの
全国での実施率は八割程度にとどまる見通しだ。
文科省自身、一月に発表した大臣アピール「学びのすすめ」で宿題、補習を奨励するなど、学
力重視路線への転換を、明確にしている。
土曜日の補習についても、黙認の姿勢をとっており、現実は当初のもくろみとは違う方向に進
みつつあるのは違いない。
■厳しい声も
こうしたなかで行われたこの日の会合。
文科省の姿勢に煮え切らないものを感じたのか、会場からは「土曜が休みになるうえに、今年は
ハッピーマンデーや振り替え休日で休みになる月曜日が八日もある。学力向上索との整合性を示
してほしい」などと厳しい意見が相次いだ。
また、「以前、人格形成クラスというのを考えたが、誰も来なかった。自然体験させるのはい
い塾で勉強させるのは悪い塾というのでは、営利企業として成り立たない」と指摘する参加者も。
全国学習塾協会の石井正純会長は「もっとストレートに塾に協力を求めてくるのかと思ったが、
学校を対象に話しているような感じで、残念。しかし、土曜日についてはいろいろな新しい展開
が考えられるはずで、ビジネスチャンスととらえている」と話した。
平成14年(西暦2002年)2月4日(月)産経新聞