−プラスチックメーカー−
全国シェア30%誇る元気名柄三笠産業
親子が家庭で顔を合わさない日はあっても,三笠の製品と出会わない日はない。広陵町の「三笠産
業株式会社」が世に送り出すプラスチックキャップは,それほど私たちの暮らしに溶け込んでいる。
調味料,ジュース,醤油(しょうゆ),ソース,酒,油,シャンプー・・・。
数え上げればきりがない。平均価格1個2円の小さなキャップが生み出すトップメーカーの姿の一端
を,90年就任の3代目社長,林田寿昭(51)に聞いた。【記者:久保敏生】
前身は1912年(大正元年)に祖父の国太郎さん(故人)が営んだ木口呑口(もっこうのみくち),
つまり酒だるの注ぎ口にねじ込む木栓の製造,代替わりで父孝一さん(81)=現相談役=が新事業を
展開。酒瓶などの栓(ブリキ王冠)を抜いた後にかぶせるプラスチック栓を考案。53年に販売を開
始し,56年に法人化,現在の基盤を築いた。
そのキャップのGS王冠は今も続くヒット商品だ。密封性に優れ,しかもシールを引っ張り,簡単
に手で開封できる。「画期的」と評価された。穴に入ったヘビはウロコがひっかかり,引っ張っても
なかなか抜けない。これがヒントだった。特許など知的所有権は200件を超える。
【本社】広陵町寺戸53(0745-56-5581)大阪・東京・福岡に事務所,本社と熊本・茨木に工場,奈良
市に研究所。
【資本金】3億7701万円
【従業員】360人
【売上金】62億5000万円(昨年度)
【事業内容】プラスチックキャップ,ペットボトル,,各種包装資材の製造販売
▼今週のことば 最後の締めがしっかりしていないと商品も成り立たぬ
屋台骨を揺るがす出来事も。キャップを抜けやすくするために用いた添加物が原因でキャップがひ
び割れし,液漏れするクレームが続出。孝一さんは十二指腸かいようで腸の3分の1を切除した。ま
だ高校生だった寿昭さんが目にしたのは「毎日返品されてくる商品の山」。会社が生きるか死ぬかの
瀬戸際だった。
教訓は生かされ進化した。「品質要求レベル,安定供給,不測の事態に対応できる信用力。これで
やっている」と寿昭さん。熊本県に次ぐ茨城県への工場進出,独立した商品開発・研究拠点のならや
ま研究所(奈良市)開設などがその表れ。
外れず漏れない,それでいて簡単に外せて使いやすい。取引メーカー側と消費者側の二律背反の要
求に応え,食品調味料分野のプラスチックキャップで全国シェア30%を誇る企業としての意地と自
信がのぞく。
ボトルをリサイクルできるよう,シールを引っ張るとキャップが外せる工夫もした。
「我々も包装業界との概念に立ち,叫ばれている環境問題も避けて通れない」。一方で国際競争に勝
ち抜く商品開発。そのための創意工夫が求められ,「適正利潤を確保し低コストの商品をどうすれば
作れるかを問う”社内入札”もやらないと」
「現状に甘んじるな。常に改善の目で見ろ。つまり現状否定。これが私の経営姿勢」。会社と社員
の将来を思い要求は厳しいが,次世代の誰に事業を継承するか,昨年から始めたキーマンの社員との
対話で,手応えは出てきたという。
これまで手掛けたキャップは2000種類以上。年間売り上げの90%を占める。取引先は食品,薬品,
酒造など全国に名の知れたメーカー。
寿昭さんは自信たっぷりに胸を張った。「最後の締め(キャップ)がしっかりしていないと,商品
も成り立たない」。社のキャッチフレーズが高らかに響く。「キャップが決め手!」
図
生活に身近なプラスチックキャップ
西暦2002年(平成14年)1月23日(水)毎日新聞