防犯の一歩は「声かけ」 街の安全は気配りから
 
Newsメニューにもどる
 
 最近,自宅周辺で治安が悪くなってきたと感じる。25年ほど前に開発されたニュータウンに住ん
でいるが,夜間帰宅途中のサラリーマンが「おやじ狩り」にあったとか,住宅に空き巣が入ったこと
を知らせる回覧が回ってくる。日本はこれまで安全な国だと信じられてきた。しかし近年,犯罪件数
が毎年,戦後の最高記録を更新するまでになっている。
 犯罪の増加に伴い,住いの防犯にも多くの関心が寄せられている。皆さんは,どのような対策をた
てておられるだろうか。侵入者に敷地内でゆっくりと「仕事」をする時間を与えないように垣根や塀
(へい)は外部からの視線を通すような配慮をする。窓には破られにくい合わせガラスを採用する,
玄関や窓などの開口部は2カ所に錠をつける(ワンドア・ツーロック),特殊な工具で玄関錠を開け
て侵入するピッキング被害が相次いでいるので丈夫な鍵や錠前に取り替える,などの対策も推奨され
る。マンションであれば,エレベーター,階段,廊下などの共用部分に防犯カメラやオートロックシ
ステムが設置されることもあるだろう。
 このように住まいの状況に応じて,犯罪者の接近を妨げたり,犯罪にあいやすい場所の見通しを良
くしたり,錠・開口部・建具など犯罪対象となるものを強固にするなどの物理的な対策は重要である。
 また同時に,居住者自信が住まいの周辺に関心を示すことも大切である。ここに興味深いデータが
ある。警視庁が,「空き巣ねらい」の被害者に対して行ったインタービュー調査の結果である。91%
の者が何らかの理由で犯行をあきらめたことがあると答えているが,その理由として最も多かったの
が「近所の人に声をかけられた」というものである。見知らぬ人には声をかけにくいものだが,自宅
の近くであれば「どちらをおたずねですか」とソフトな対応もできる。ちょっとした気配りが街の安
全につながるのである。【瀬渡章子・奈良女子大生活環境学部助教授】
 
「防犯環境設計ハンドブック(住宅編)」【97年3月,(財)都市防犯研究センターより】
 
西暦2002年(平成14年)1月22日(火)毎日新聞
 
Newsメニューにもどる