小中学校で使われる教科書について,文部科学省は,学習指導要領を超えた内容を盛り込むことを
容認する方向で検討を始めた。学習内容が削減され,学力低下への懸念が高まったことに配慮したも
ので,学習指導要領準拠を求めてきた教科書検定の方針を全面転換することになる。早ければ小学校
では05年,中学校では06年から高度な内容を盛り込んだ教科書が登場することになり,全国一律に
学習内容を規定した指導要領の拘束力は大幅に弱まる。
学習指導要領は児童・生徒に教えるべき内容を学年,教科ごとに定めた基準で教科書検定もこれに
沿って行われる。同省は教科書会社に指導要領厳守を求め,検定で指導要領を逸脱した記述を厳しく
チェックしてきた。
特に来年度から導入される新学習指導要領は,学校5日制が完全実施されるのに伴い,学習内容を
3割ほど削減。小中学校の教科書の検定でも,学習内容の精選を徹底させるため,応用的な記述や発
展的記述が「不必要」「不適切」とされた。
しかし,学習内容の削減に学力低下を懸念する声も強く,土曜も授業を行う一部私立校と公立校に
格差が出るとの指摘もあった。同省は学校で行う授業では学習指導要領を「最低基準」と位置付け,
これを超えた高度な内容を教えることを認めており,指導要領を厳格に適用する教科書検定との矛盾
も指摘されていた。このため同省も従来の方針を見直し,教科書にも高度な内容を盛り込む方向で検
討を始めた。
今のところ,指導要領からの逸脱を認めるのはコラムや欄外の記述などに限られる見通し。「兆よ
り大きな数」(小4算数)や圧縮空気でペットボトルのロケットを飛ばす「水ロケットの実験」(小
4理科)など,昨年度の検定で削除された内容も来年度から使われる教科書が全面改訂される際の検
定では認められることになりそうだ。
子供たちの興味を引く内容を盛り込んだり,理解の早い子に対応した発展的な記述も認められる見
通し。【記者:澤圭一郎】
西暦2001年(平成13年)12月30日(日)毎日新聞掲載