極限環境生物 温暖化防止にも一役
 
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 温度や圧力が高く,酸素や栄養分が乏しい地下深部では,生物は存在しないというのが定説だった。
ところが,,ドイツの研究者が一九九七年,水の沸点を超える一一三度でも生きる微生物を報告した
ことから,これまで知られていなかった微生物の可能性に注目が集まっている。
 「日光も届かなければ酸素もない地下深部で生きる極限環境微生物には,われわれの知らない未知
なる力が秘められている。地球最後のフロンティアです」 京都大大学院工学研究科の今中忠行教授
はこう語る。火山の火口近くに生物が存在することは以前から知られていた。さらに一九八〇年代に
は,数キロメートルもの地下や強い酸性やアルカリ性などの極限環境でも生きていける微生物がいる
ことがわかった。
 今中教授によれば,そもそも生命体が誕生した三十五億年ほど前の地球は酸素がほとんどなく,現
在の地下深部で生きる微生物の環境と似た状況だった。地下深部には,太陽光を得て光合成を行う植
物などとは異なる生態系があるという。こそで生きる微生物の多くは有機物を酸化するすることで生
きるエネルギーを得ているのだ。
 今中教授は一九九三年(平成五年),鹿児島県子宝島の海中温泉で,六十五度から一〇〇度の高温
下で生きる「超好熱始原菌」を発見した。この菌は耐熱性が高いうえ,DNAを正確に速く複製する
ことから,すでにDNA鑑定や遺伝病治療に応用されるPCR法に活用されている。
 さらにこの超好熱始原菌を遺伝子解析したところ,植物の光合成に必要な酵素「ルビスコ」を保持
していることも分かった。酸素があると死滅してしまう性質を持つ一方で,二酸化炭素を有機物に変
える炭酸固定能力はホウレンゾウと比べ,十倍以上も高かった。
 今中教授は現在,ルビコスを植物の葉緑体に挿入し,発現させることで炭酸固定能力を高める実験
に取り組んでいる。ルビスコの代謝の仕組みはよくわかっていないが,水に溶けやすい特質を持ち,
植物の葉緑体入れても酵素として十分機能し,植物の炭素固定能力を高めると考えられるからだ。「葉
緑体を活性化させ,より多くの二酸化炭素を取り入れることで,地球温暖化防止にも役立つ」と今中
教授は話している。(記者:今西和貴)
 
平成13年(西暦2001年)10月27日(土)産経新聞掲載
 
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