塾で理科が分かるか/産業界に先生”徴兵”けしからん
ノーベル賞受賞野依さん 政府の「無理解」一喝
 
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 今年のノーベル化学賞に決まった野依良治名古屋大教授は(平成13年10月)十六日,東京・神田
の日本化学会で記者会見し,理科離れや産学連携といった問題について「科学技術創造立国のために
理科を教えるとか,大学は前面的に技術開発に協力しろとかいうのは前面的間違っている」と政府の
科学への無理解を手厳しく批判した。
野依教授は、まず理科離れ問題について「富国強兵のために理科を教えているのではない。なぜ理科
を学ばなければならないのかを一番に考えないといけない。すべての人が自然の仕組みを知り、その
知恵を使い豊かに生きることこそが理科だ」と語った。
 さらに授業時間を増やしても理科離れは解決しないと指摘。「問題は私たちが自然の中に暮らして
いないこと。先生の与えるヒントをとっかかりに自分で自然の仕組みを体得することだ。塾に行って
理科が分かるわけがない」と述べた。
 産学連携については「日本の産業が振興しないのは産業における研究者の能力、創造力が足りない
から。大学の一番大事なことは教育と学術研究で、産業界が大学の先生を”徴兵”して下僕として使
おうというのはけしからんことだ」と一喝。
 産業界の研究力を上げる方法として、大学院教育の水準を欧米並みに上げる必要性を強調した。
 「五十年でノーベル賞受賞者三十人」という政府目標についても「学術活動を理解していない。不
見識きわまりない」と嘆いた。
 
平成13年(西暦2001年)10月17日(水)産経新聞掲載
 
 
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