「キトラ」保存へ新装置 2方向温湿度計測センサー設置
文化庁 「石室内は良好」
朱雀(すざく)など古代中国の四神の壁画が見つかった明日香村阿部山の特別史跡「キトラ古
墳」(7世紀末〜8世紀初め)で(平成13年10月)3日,文化庁が石槨(小型の石室)内部の
温湿度を計測するセンサーの取り替え作業をした。キトラ古墳の墳丘に開けられた穴は3月の壁
画撮影以来閉ざされており,開けられたのは約半年ぶり。保存のための調査に向け,新しいセン
サーがより正確なデータを蓄積していく。
今回の作業は,古墳の石槨内の温度と湿度を随時計測するため石槨内に入れたセンサーが石槨
の壁穴に通したパイプの先端付近にとどまっていたため,より長いアーム(約4メートル)に取
り換え,センサーを2方向に向けた2個と取り換えた。2個にすることでより正確な計測ができ,
万一1個が故障しても対応できるという。
文化庁の調査官のほか,明日香村教委,奈良文化財研究所(奈文研),橿原考古学研究所の担
当者らが見守る中,墳丘の穴(盗掘穴)が慎重に開けられ,センサーが取り換えられた。新セン
サーは石槨内の50センチメートルほど内部に届いたという。
また,墳丘の中腹部には温湿度のデータを取り込むための百葉箱が設置された。さっそく観測
したところ,石槨内の温度は22度以下,湿度は98.7%以上に保たれていることがわかった。新
センサーは古墳の外の温湿度も含めたデータを毎日5分おきに収集する。
現地で指導にあたった沢田正昭・奈文研埋蔵文化財センター長は「はれものを触るような作業
だった,センサー交換は非常にうまくいった。村による管理が行き届いており,湿温度とも古墳
の保存環境としては良好」とほっとした表情だった。文化庁や村教委は計測データを元に,12
月初をめどに保存のための調査に入る予定だ。
西暦2001年(平成13年)10月4日(木)朝日新聞掲載