ブラックホール 巨大化に新理論 「中質量」が次々合体
太陽の100万倍以上の質量を持つ巨大ブラックホール誕生の仕組みを説明し,宇宙の進化に
も応用できそうな理論が,4日から兵庫県姫路市で始まる日本天文学会で提唱される。星団内で
多数の星が合体してできる中質量(太陽の百〜千倍)のブラックホールが,今度は銀河の中心で
次々と合体し,巨大に成長するというシナリオだ。
新理論を提唱したのは,理化学研究所の戎崎俊一部長や京都大の鶴剛・助教授,東京大の牧野
淳一郎助教授らのグループ。新理論によると,銀河同市の衝突などで誕生し星団内では,高密度
の星同士の摩擦で,重い星が星団の中に集まり合体する。その結果,太陽の100〜200倍の中質
量ブラックホールが生まれる。
銀河の中の多数の星団内で同じことが起きており,その結果,中質量ブラックホールを抱えた
重い星団が銀河の中心に集まる。このブラックホールが中心部で合体を繰り返すと,太陽の100
万〜10億倍もある巨大なブラックホールへと成長する,というのが今回提唱された理論だ。
昨年,京大などのグループが世界で初めて中質量ブラックホールを発見したのをきっかけに新
理論が構築された。これまでに観測されている太陽の10〜20倍程度の小質量ブラックホールで
は,巨大型に成長するのに宇宙の寿命より長い時間がかかり不可能だが,中質量なら可能である
ことが理論的解析で分かった。
戎崎部長は,「爆発的に星を形成中の銀河,非常に明るい高光度赤外線銀河,活動的なクエー
サー銀河など様々な種類の銀河を別々に研究してきたが,みなブラックホールの形成過程に沿っ
て進化してきていると考えれば,統一的に説明できる」と話す。
西暦2001年(平成13年)10月4日(木)朝日新聞掲載