光合成能力高めた植物開発
世界初,近代教授らのグループ
成育能力向上に成功
近畿大学農学部(奈良市中町)の重岡成教授らのグループが,光合成の能力を高めて成育を向
上させた植物の開発に世界で初めて成功し,このほど発行された科学誌「ネイチャー・バイオテ
クノロジー」に発表した。将来的には穀物類への応用が期待され,食糧増産や大気中の二酸化炭
素削減につながる研究結果として注目を集めそうだ。
重岡教授らのグループは,他の植物の遺伝子を使って高等植物の弱点を補強し,植物の持つ二
酸化炭素吸収能力を向上させることに着目。葉緑素の中に存在し,二酸化炭素を固定してでんぷ
んに変えるための部分,カルビン回路の増強に挑んだ。
研究では,一つのタンパク質で二つの反応を起こさせるラン藻の酸素遺伝子を,タバコ葉のカ
ルビン回路に組み入れて培養。回路中の二ケ所が増強されたことで,結果的に回路の別の部分に
ある光合成酵素を活性化させ,成育能力を向上させることに成功した。
室内での栽培実験では,遺伝子を導入した株は,野性株より背丈と感想重量で1・5倍の成育
を確認。根や葉,茎なども発達が顕著で,光合成能力が1・24倍増加していることも確かめら
れた。
これまで,他の方法で光合成能力を高める研究が国内外で試みられてきたが,成功が認められ
たのは今回が初めて。今後イネなどの穀物やジャガイモなどへの応用,食糧増産が期待され,同
グループでもイネでの研究を実施している。
重岡教授は「光合成能力が高まったということは,植物の二酸化炭素の吸収,固定能力が向上
したことであり,大気中の二酸化炭素減少にも役立てられる。今後さらに研究を深めたい」と話
している。
播種後18週目の遺伝子を組み入れた2つの個体(右)と2つの野生株
近畿大学農学部
平成13年10日3日(木)奈良新聞掲載