風力発電施設に脚光 新エネルギーA
観光資源と兼用 成功例の半面失敗も
近年,観光資源兼用で脚光を浴びているのが風力発電施設。全国各地の海岸部や高原に巨大な風車
が次々に建設されている。国も建設費を補助するなど積極的に後押ししているが,成功例,失敗例な
どさまざま。
官民一体で
三重県久居市は平成十一年五月,単独事業で青山高原に四基の風力発電施設を建設。自然まかせの
発電ながら堅実な売電実績を上げ,行楽期には一日約三千人を集めるなど,観光資源として集めてい
る。
この成功で,同市は隣接する大山田村やNKKなどの企業とタイアップし,青山高原一帯に新たに
二十基の風車建設を計画,昨年末に三セク会社「青山高原ウインドファーム」を設立。新エネルギー
産業技術総合開発機構から補助を受けて年内に着工し,十五年四月の稼働を予定している。
出力は一般家庭一万二千世帯の年間電力消費量に相当。稼働から七,八年で採算ベースに乗せられ
る見込み。大山田村にとっては,かつてないほどの一大事業で地元の関心も高い。
京都府の弥栄,伊根両町境にある太鼓山山頂付近でも風車六基の建設を進めている。全高は五十メ
ートル。ブレード一枚の長さが二十四メートルと大型。二千三百世帯一年分の電力を作り出せるとい
う。今年十一月に取り付け,営業運転を始める予定。
国産では割高となるため機材を風車の本場,オランダの民間企業に発注した。機材の国産化・量産
化によるコストダウンも課題のひとつだ。
地形が変わり・・
しかし,風車も周囲の環境の微妙な変化で,使えなくなることも。
福井県河野村大谷の国道8号沿いにある「道の駅」敷地内には「回らぬ風車」がある。 国土交通
省が風車の回転力で熱を発生させ,その熱で近くの駐車場の雪を溶かそうと,平成九年に約八千万円
をかけて設置した。
風速四メートルで発熱できると想定され作られたのだが,駐車場をつくったときに地形が一変。風
が山にあたることで無風状態となり風車が回らなくなってしまったという。今では駆動率は目標のわ
ずか1%弱とか。
同省は,羽の形状の変更,別の土地への移設など,改善を検討しているが,「風が強い地点に設置
したとしても,風が強いと雪は積もらないもので,こういった設備はいらない」という。道路融雪用
の風車がうまく回転するにはまだまだ課題がありそうだ。
微風で発電
滋賀県の琵琶湖畔でも今年七月から,国内最大級の風力発電装置「くさつ夢風車」が稼働を始めた。
草津市が三億千七百万円をかけ水生植物公園に設置した。
高さは九十五メートルにおよび,風速三メートルで発電できる。出力は千五百キロワット。公園の
年間消費電力をまかない。余剰分は売電する。これで年間四百六十トンの二酸化炭素を削減できると
いう。
ところが,風力発電に対する滋賀県の見方は厳しい。クリーンなエネルギーとして注目される一方
で,県が今年初め,風力発電の公営事業化の可能性について出した結論は「困難」だった。
県内で最も採算性のよい奥伊吹スキー場付近でも,初期投資や維持費などで約十億円が必要なのに
対して,収益は約七億四千万円と採算割れするからという。
風力発電の場合,羽が回れば回るほど電力の発生量が多くなり,採算もとれるシステムになってい
るため,同県新産業振興課は「今後,微風でも発電できる装置の登場など,技術革新に期待したい」
と話す。
平成13年(西暦2001年)8月20日(月)産経新聞掲載