学力低下論に反論 文部科学省
「新指導要領は最低基準」説明文書を作成 多様な教育PR
学習内容を三割削減した新学習指導要領への批判が高まる中,文部科学省は三十日までに,新指導
要領の性格を「授業の最低基準,教科書の標準」とする説明文書の作成に乗り出した。同省は「指導
要領について説明不足だった部分がある」として,学力低下論への反論に乗り出した格好だ。
文書は「学習指導要領の基準性について」と題され,「指導要領は教員教員が授業を行う上での最
低基準。教員は進んでいる子供には授業でより高度な内容を扱うことが可能」と説明。「『ゆとり』
は『ゆるみ』ではない」と「ゆとり教育が学力低下を招いている」との批判にも反論し,「ゆとり教
育は教育内容を精選し,選択の幅を拡大すること」と強調している。
一方で,教科書については「学習指導要領に示す事項を過不足なく取り入れ,不必要なものは取り
上げないこととされています」と説明。「学習指導要領は,授業に対しては最低基準,教科書に対し
てはその範囲を示す標準」と,ちかごろ旗色の悪い新指導要領を「弁護」している。
来年度から実施される新学習指導要領は,学校の完全週五日制実施に伴い,学習内容が三割削減さ
れた。このため,新指導要領にあわせた新しい教科書はいずれも従来と比べて薄くなり「本当に学力
は大丈夫?」との批判があがっていた。
文部科学省では,批判の背景に「授業は教科書だけで行われる」という誤解や,「ゆとり教育は学
力をおろそかにする」といった思いこみがあると分析。「基礎学力を徹底して身につけさせ,進んで
いる子供はさらに学力を伸ばすなど,多様な指導を目指す新指導要領の趣旨をPRする必要がある」
として,反論文書の作成に乗り出した。
文部科学省では「学習指導要領が最低基準であることは以前から明記されていたにもかかわらず,
指導要領の削減が学力低下に直結するような論議が多い。最低基準の意味が浸透すれば,進んでいる
子供をさらに伸ばす習熟度別授業などもさらに取り入れられるのでは」と話している。
義務教育で色分け早すぎる・・国立教育政策研究所名誉所員の市川昭午さん(教育政策)の話「勉
強のできる子には高度な内容を教えるというが,義務教育の段階で色分けするのは早すぎるのではな
いか。教師の裁量任せという印象が強く,どこまで教えればいいのか現場の教師は混乱しており,そ
こまで求めるのは酷にみえる」
平成13年(西暦2001年)5月1日(火)産経新聞