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アーネスト・ラザフォード
 
 ラザフォード原子核物理学の開祖といわれる。
 彼は1871年にニュージーランドのネルソンという町の近くの農家の4番目の子として生まれた。
そして,ニュージーランドで教育を受け大学に学んでから研究を続けていた。ところで,1851年に
ロンドンで開かれた博覧会を記念して設立された科学奨学制度が海外の学生にも適応されることにな
り,1895年の奨学生がマクローリンという化学研究者に与えられることになったが,その人が家庭
的理由で辞退したので,学力の優秀なラザフォードに贈られることになった。この年にイギリスに渡
り,ケンブリッジのキャベンデッシュ研究所で,J.J.トムソンの下で研究することになった。ここで
は,X線による電離の研究などを行なった。
 
        J.J.トムソンの実験                    J.J.トムソン
 
 1898年に,カナダのモントリオールのマックギル大学の教授になった。ここでは,放射能の研究
を行い,1902年にソディと共に原子崩壊説をたてた。また,α線についての研究を進めた。
 1907年にマンチェスター大学教授になった。ここにいたドイツ人ガイガー(1882〜1945,ドイツ)
を助手としてつけてもらい,α線の研究を行った。1908年にα粒子がヘリウム核であることを確か
め,同年シンチレーションでα粒子を一つ一つ数える方法が開発された。そして同年ラザフォードは
ノーベル化学賞を受け,ガイガー計数管は1913年に発明された。
 1909年に,ガイガーとマースデンにα粒子の散乱の測定を行わせ,彼等によって大角散乱が見い
だされた。1911年にラザフォードは,これは原子の中に正電荷をもった重い粒子があり,これによ
って一挙に散乱されたものと考え,その場合の散乱公式を導いた。1919年には窒素の原子核の崩壊
に成功した。同年ラザフォードはキャベンディッシュ研究所長になった。ここでは,α線衝撃による
軽元素原子核の破壊の研究をした。
 彼は多くのノーベル賞学者を育てたことでも有名である。
@ニールス・ボーア(1885〜1962,デンマーク)がラザフォードの講義を聴き,その人柄にひかれ
て,1912年から約1年間ラザフォードのもとで研究した。そして,ラザフォードの原子模型を使っ
て水素スペクトルを説明し,水素原子模型を提唱した。そして1922年に「原子構造とその放射に関
する研究」により,ノーベル物理学賞を受賞した。
A1920年にラザフォードは中性子の存在を予言した。彼の弟子のチャドウイック(1891〜1974),
イギリス)が後の1932年にその中性子を発見し,1935年に「中性子の発見」により,ノーベル物理
学賞を受賞した。
Bラザフォードが最も愛した弟子の一人に,モーズリー(1887〜1915,イギリス)がいた。いろい
ろな元素にX線を当てたとき,散乱の強度は気体の分子量に比例する。X線の散乱は帯電粒子によ
って起こされると考えられるので,このことから,原子量が大きくなるほど原子内の帯電粒子の数が
多くなることがすでに知られていた。モーズリーはこの理由を,原子が増すにつれて原子内の電子の
数が増すこと,したがってまた,核内の正電荷が増すだろうと考え,メンデレーエフ(1834〜1907,
ロシア)の周期律表を,原子核の正電荷の数(すなわち原子番号)の順に並べればよいことを提唱し
た。しかしながらモーズリーは,第1次世界大戦が始まり,英国工作隊として入隊させられ,1915
年,27歳の若さで死んでしまった。生きていれば確実にノーベル賞を受賞していた人物である。
C第1次世界大戦では大尉だったブラケット(1897〜1974,イギリス)は,大戦終了後,ラザフォ
ードの講義を聴きに行って,そのままケンブリッジ大学に入学し,卒業後はラザフォードの指導のも
とに,キャベンディッシュ研究所で研究を積み重ねた。ブラケットはウィルソンの霧箱を使い,1935
年にα粒子を窒素に当てて核反応を起こし,その霧箱写真をとった。1935年には,γ線の消滅の際
に電子と陽電子が発生する。いわゆる「電子対創生」を発見し,1948年に「ウィルソン霧箱による
原子物理学と宇宙線の領域における発見」により,ノーベル物理学賞を受賞した。
 そのほか,粒子加速器による最初の原子核変換実験に成功し,1951年にノーベル賞を受賞した
ッククロフト(1897〜1967,イギリス)や,超低温物理の研究(特に液体ヘリウムUの異常な性質)
により1978年にノーベル賞を受賞したソ連の物理学者カピッツア(1894〜1984,ソ連)などがいる。
 ラザフォードは,1937年に亡くなった。
 
 
      ラザフォード                ボーア
 
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